思わず二度見した先生の顔。
あまりに当たり前に言うから聞き流しそうになった。
仕事場から駆け付け、待つ巨大病院の中。
こないだの娘の夜間救急もそうだったが、マスクのせいか目の大きな若い女医さんが続く。術後に聞いた言葉だけ信じて、何度かシミュレーションしたけどどこか楽観してる自分がいて。
それは座って直ぐのことだった。
「大きい方は、正常との間でした」
「浅く、完全に取ったことをお伝えします」
「毎年検査した方がいいので、来年の予約を」
理解が追い付かない。
夜中まで日本クロアチア戦を観て寝たから頭は回ってなかったかも知れない。それでも。喜ばしい絶望と言うか、安心と不安の入り混じった、普通に過ごしていい消えない傷が、ずっと残っていた。
精算して、帰社して、早めに帰宅し、大盛りの焼そばとビールを飲み、今はジンを飲んでいる。がまだ、理解できていない。
まだ…