夏休みが終わり、台風が何個も発生した。
各地に災害をもたらした。
長い、そしてまた酷い夏だった。
いつ終わるのかとコピペしたような週間予報がようやくましになり始めた今日は、娘の中学校最後の運動会だった。運動場にプレハブの並ぶ去年から、陸上競技場での平日開催になった。
仕事場から昼前に自転車で向かう。
中学時代は陸上部だった。あの頃ここはまだ土のトラックで18mmピンのスパイクを履いていた。(左手の薬指を踏まれ運良く爪をかわして貫通したことがあるって、言ったっけ?)
フェンス越しの外に立つ。木陰は風もあって凉しい。反対側は遠過ぎて諦める他ないが。
騎馬上の騎手が投げ縄の様に重りを振り回し積んである一斗缶を倒すという新しい(戦わない)騎馬戦の後、3年生の踊り。
じん…
こんな動き、組ごとに違う色、あの頃無かったこの華やかさ。いや違う。あの頃より数倍酷いこの猛暑の中、毎日毎日信じられないくらい陽に焼けながら練習していたからだ。
土の運動場より過ごしやすい、汚れない、芝生で転けてもダメージは少ない。いやそうじゃない。あの頃よりよっぽど一生懸命やってるのだ。
何故か娘を見つけられないまま、
涙が。
午前の部を終え、つけ麺食べに出る。
昼一は名物の部対抗リレー。美術部の娘は巨大な鉛筆と消しゴムをバトンに走る(部内ではかなり速いらしい…)。当然陸上部はユニフォームに正規のバトンと面白くもないが最も速く、逆に剣道部は体力とは無関係に袴が邪魔で走れず、大概後方に回る。
残念、娘は反対側の100mだったようだ。
白熱必至。食ってやろうと野球部が前に出れば陸上部がそうはさせまいと本領を発揮。このコスプレとちゃんとハンデがある所に伝統を感じる。
そして最後の女子400リレー、男子800リレーまで見届けてから帰る。(結局僕は高校でも陸上を続け400をしていた) が、普通の中学生にトラック半周はきついだろう。それでも皆本当に一生懸命走ってて、また各持ち場の係役の生徒も、一生懸命仕事していた。
ふと思った。
背の高い子も低い子も鍛え上げて筋肉質な子もふとっちょな子も、スポーツが好きでこの日に賭けている子も普段ゲームばかりしているような子も、みな一生懸命頑張っていた。真っ直ぐに。それが素晴らしかったのだ。
自分はどうだ。
誰よりも足が速く誰よりも大きく、小中高大と運動を続けていたのに、なぜ真っ直ぐに一生懸命に出来なかったのだろう。
今日だって目立たない持ち場の子も、二人三脚のスタート直後に転けてしまった子も、投げ出すことなく一生懸命にやり遂げていたじゃないか。
ろくに努力もせずに格好ばかり気にして、今でも斜めに生きているのではないかと、強烈に気付かされた気がした。
剣道をやめ、跳躍に逃げ、400からも逃げ…生物、デザイン、そしてコピー。余所見ばかり言い訳ばかりして来た。
真っ直ぐに、真っ直ぐに生きていたら良かった、美しかった、正しかった、迷わなかった、強かった、そして楽しかっただろう。
まだ真っ直ぐに生きられるのだろうか。
そんな、13日の金曜日。