丸椅子日記

下手なGSとジェベルと人生。あ、コピーライターです。

迷走の果てに

 ゴールデンウィークもあと2日。毎年この時期になると、昔の旅気分がむくむくと頭をもたげ落ち着かない。が、せめて下の子が幼稚園に入るくらいまでは長旅には出られまい。しかも先月18日に出社して以来、バイクに乗ることすら出来ていない。
ここのところ、無理して維持するだけのまた少々手入れが必要で危険なバイクに乗ること自体、疑問と言うか、良心の呵責と言うか、腹立たしさと言うか、とにかく情けない感情が強くなっている。第4四半期の業績が悪かったことも無関係ではあるまいが。
 
 先週はまたしても子どもに風邪をもらい、珍しくマスクと感冒薬で誤魔化して仕事に行く毎日だった。新型インフルエンザのニュースとも重なり、実はそういう情報に過剰に凹むので余計にしんどい日々だった。長女が幼稚園に通い始めて間も無く、家内の疲労も大きい。何とか休みの日は子どもを連れて出て少しでも役に立とうとしているのだが、この1年の収支を振り返って、どうしてもバイクという無駄な存在に対して上手に立ち振る舞えない自分がいたのだ。

 選択肢はそうない。乗るか、下りるか…。小排気量車を今買うのは得策でなく、かといってアフリカなどもう売れるものではない。大した金額を使ってなくても、無駄は無駄。今後色々と出費もかさみ貯蓄はいくらあってもいいはずなのに、こんなものがあって良いのか…、出ない答えを抱える日々だった。

 そうやって迎えた今日。家内と子どもたちが実家に行くので明日まで使えるのだが、天気は良くない。降水確率は40%の曇り。明日はもっと悪いので動くなら今日か…。週末は天候が回復するようだが、乗れる可能性はない。ウイーク前の予報でずっと晴れだと思ったが、週間予報はよく動く。とりあえず充電の意味でも走っとかないと。


 着替えて外に出る。暑い。予報の割には完全に晴れの範疇だ。薄手のナイロンジャケットの下に着たジャージを脱いで、バッグに詰めた。今日はまた国道走にしたくて、土手からR180へ向かった。しまったな、こんないい天気なら早起きすればよかった。

 さすがに晴れの国だ、これで40%か。天気の心配はさておき、大山辺りまで足を伸ばしてみよう。そうなるとR313経由か。今はどんな道を走るかよりもどう走ったかが大切だ。人の日記を読む度に次走るときは、などと思うのだが実際はただただ走りたくなるのだ。今は、そんな余裕のない時期、好きに乗ろう。

 いつものルートを、久々な分余計に飛ばす。やはりブレーキが甘い。去年Fローターを交換した直後に味わった好感触も長続きせず、リアまでが少々怖い。Tさんの見立てではサスのO/Hが必要とのこと。実際カチッからギュまではほぼ制動力を感じず、ギュギュー以降での勝負となる。何せあの巨体である。下りの山岳路や狭いワインディングでは、慣れた自分でさえ冷や汗をかく。
 それと言うのも、ここへ来てアフリカの走りが調子良く相対的にブレーキの弱さに目がいくのだ。へたったリアサスが功を奏したか、ポジションもしっくり来ている。アクセルだけに頼る場面では、何の不足もない気がするのだ。

 高速に客が流れたようで流れは快調。やはり今日出たのは正解だった。県中部あたりは山あいに雲が多いが、それも一時。コーナーを抜けるたびに晴れ空が覗き、不安も取れる。どうも北上するほど好天のようだ。たった一度の休憩で一気に道の駅風の家へ。
 そういえば真庭で白メットの黒忍者を見た。Z氏に似るも、忍者が黒グレーだった。その先のGSでは、DT125Rに赤いバンディット。ひょっとしてK君たちかな。一瞬だったので大きめの空ぶかしをして過ぎる。気づいただろうか。また勝山辺りだったと思うが、通り過ぎる4台の最後尾がどうもビッグオフくさい。そして通り過ぎる瞬間、「おっと、いたな!」という感じで手を振って明らかにメッセージを送るライダーがいた。そう恐らくトリコっぽいRD07アフリカツインだ。オフ車さえ見ない日で、GS乗りが誰も挨拶をしてくれない中、アフリカ乗りは10人といないものの出くわすと本当にうれしいアクションをしてくれる。もっともGS乗りにしてみれば、アフリカは範疇に入ってないんだろうな。同一カテゴリーじゃないというか。

 用を足すだけに寄りたかった風の家だが、案の定の混雑振りで警備員に外に停めろと言われ、腹立ちついでに次を探すことにした。で、最初の展望台休憩所へ。

 バイクはゼロ。風が強く少々寒い。出掛けに脱いだジャージを着る。この辺で12~15℃。麓とは2~4℃ほど下がる。そのまま北上しいつも走らないK45を右に。新鮮な風景に調子も乗ってK44~K34と回るも、4時半を過ぎ後先を考えヒヤリ。おとなしく引き返すことにした。

ここでUターン。


頂には雪が見える。

 まあ行くところまで行けて満足だった。来た道を戻るだけの気安さとは逆に、陽も暮れ始め急激に雲が暗く見える。明日の雨も場所によっては前倒しになるかもな。帰り道の途中、積んであったレインウェアを着てグローブもネオプレンのものに替えた。ああ、暖かい。これでいつ雨が来ても大丈夫、というよりも道のいたるところが濡れている。どうやら一雨来た後のようだ。しかもこれは随分南下するまで続いた。何ともラッキー、準備は必要だが濡れないに越したことはない。



帰りの道の駅醍醐の里。夕暮れと雨上り感がたまらない。切り取られた長旅にも似たその一瞬。

 結局一度も雨に降られないまま暗い中を快調に走り、帰宅は8時半を過ぎていた。駐輪場に停めた愛車は街灯に照らされ佇んでいる。ただ国道を往復し大山を見に行っただけだが、今日の走りは大きい。それこそ細かい林道は次期マシンに託して、ちょうど自分に合ってきたこいつを長く乗るのも良いのではないか。250時代は軽く安かったが、バイパスでダンプに延々煽られ続け死ぬ思いもした。さすがにブレーキやサスに手を入れてもバイク1台分にもなるまい。歴代でも一番長く乗っているアフリカツイン、自分の悩みが一瞬ものすごく小さなものに感じた。
 この時間をありがとう。長旅もオフを攻めることも当分出来ないが、何の変哲もない国道走もこんなに価値あるものになったではないか。確率40%の中ほとんど青空の下、緑と風にまみれることができたではないか。

 明日は家族も戻って、明後日からはまた仕事。今日は久々に腰の不安も感じず、心地よい疲れを味わえた320kmだった。実はショップに出向き、安いバイクの物色もしくはアフリカを置いて帰る可能性もゼロではなかったはずのこの日に…。