コシトタニマトマルイスト

やっぱり旅に出たいCW/CD系会社員の、すべて独り言。

出会いの日

今日はアフリカの車検が出来上がる。

ここのところ雨に降られたりで、まったくもって走れていない。そのつけが回ってきたのか、先週水・木とダウンしてしまった。何とか心身とも回復したので、できれば走りたい。今日は本当にいい天気だし

11時にRBへ。最後の作業をしている。聞くとエキパイのヒートガードのボルトがゆるく、締めてもがたつくという。色々していただいたが、あまり気にしていないし早く走りたいので終えてもらった。
他にも、ニュートラルに入りにくく入ってもランプが点かない、タイヤの山特にFが三角、しかもエア抜け病でチューブを換えても良かった、ハンドルポストのベアリングがもう限界?など、年式のこともあり車検を通したとはいえ、不安が多い。

早速車検用の純正スクリーンを、持ってきたMRAのスクリーンに換装。作業をしていると若い店員さんが来た。このアフリカを検査場に持ち込んだ方らしい。しかも珍しいことにオフが好きでビッグオフに憧れているという、DRZ乗り。あまりにかっこいいを連発するので、跨ってもらうとさらに感動した様子 しかもお客さんも加わってアフリカ談義になってしまった(こっちはおじさん。韓国のTW125みたいなのを買ったという)。まあ、正直ただでさえ少ないオフ好き。古いアフリカをかっこいいと思える感覚は嬉しかった。24だというのに貴重。

予想外に時間を食ったが、とてもいい気分で出発。R2に乗ってR180、R313で軽く蒜山大山方面を目指す。今日は自分もバイクも「慣らし」ツーリングだ。久々だし、軽く爽快に行こう、軽く。

快調、快調。気のせいかハンドリングが素直だ。このタイヤにしてコーナーでも非常にニュートラル。すいすいと見慣れた国道を北上する。爽快。やっぱり、バイクだ。

これといった渋滞もなく、そして休憩も取らず蒜山へ。ちょいちょいバイクもいるし、四輪キャンパーもちらほら。いい季節だもんな。道の駅風の家で初休憩。気がつくともう3時半。そういや工事箇所が多かったっけ。

!何と角目1灯の660テネレを発見。一服していると持ち主が現れた。50~60代の夫婦で大荷物、今日は鏡ヶ成でキャンプだという。素晴らしい。以前四国で毎週末夫婦で林道もタンデムで走る同年代の夫婦に出会って以来だ。こういうの、本当に素晴らしいと思う。旅慣れているようなので、長い話にはならなかったが、またまたいい気分になった。よし今日はもう一走りしよう。このまま給油でもして、まっすぐ帰ろうとも考えたが。

取って返し、蒜山大山スカイラインへ。鏡ヶ成、大山道経由でR482へ出る。R181は新庄に出て気がついた。あ、そうか。結局ただの遠回りか。過ごしやすかった気温はぐっと下がり、ほぼ寒い。陽もほとんど沈んできた。道の駅メルヘンの里新庄でレインでも着て、高速で一気に帰ろう。

その休憩の途中だった。

アフリカを前に一服していると、目の前に黒いGPZ900Rが。どうも。お決まりのあいさつをすると「寒いすね」。普段は岡山市にいる34歳のその男性は島根の古い城跡や鄙びた温泉を回ってきて、真庭の実家に行く途中だという。よく手入れされたバイクは至るところに手が入れられ、絶妙のポジションにセットされていた。これほどまで自分にフィットするオンロード車には乗ったことがない。
互いのバイクの話に始まり、若い頃は野宿をよくやったこと、しかし西日本どまりであること、九州が最高であること、また学生時代九州にいたこと、そして岡山人でありながらその気質に疑問を抱いていること。…ん~、何だこの絶妙な一致。偶然なのか、これぞ出会いか。お互い思いがけず楽しく貴重な時間を過ごし、最後は握手で分かれた。必ずどこかで会えますよと言った彼は、「何か熊本の人って温かいですね」とも。(実は自分が岡山生まれの熊本人。岡山人はどこか冷めているという流れで)

長いこと語り合った。アフリカとニンジャでは何もかも違うのだが、互いのバイクに乗って色々認め合えた。人生におけるバイクの存在も、仕事の壁やストレスも、なかなか乗れない日常も、そして折角の時間が感動も新鮮さもないものにしてしまっているジレンマも、心底わかり合えた。同年代で、こう深い部分で話せる人に出会って、何だか不思議な気分になった。これがあるから、バイクはやめられない。ほとんどは通り過ぎていくだけの、似て非なる他人に過ぎないのだが。

すっかり陽の暮れた国道を急ぎ、落合ICからは高速へ乗り一気に早島ICへ。6時には帰宅の約束も8時に。すっかり遅れて平謝りとなったが、予期せぬ出会いが楽しい時間をもたらし、今日と言う日を忘れられないものとした。暗い高速を頼もしく走るアフリカの存在も大きい、軽い気持ちで大きな収穫。そんな300kmだった。